味集中システムは多くのお客様に大変喜ばれており、特に女性のお客様が圧倒的に多いのが一蘭の特徴です。周りを気にせずにラーメンを召し上がっていただけるこのシステムは、有名人・著名人の方々も数多くご来店くださっています。
そもそもラーメンは、黙々と10分程度で味わうものです。味集中システムは、周りを気にせず本能のまま、リラックスした状態で味わう事だけに集中していただける環境です。
人は自律神経の働きによって、緊張したりリラックスしたりします。自律神経には交感神経と副交換神経があります。交感神経は緊張時に優位に働きます。ゲーム中や接待、お見合い等の緊張する状態はいわば「戦闘モード」「消費モード」でもあり、そのような状況ではどんな人でもあっても美味しさを感じることはできません。リラックスした時に優位に働く副交感神経は「ゆったりモード」「吸収モード」であり、純粋に美味しさを感じることができます。
一蘭の味集中システムに着席すると周りが気にならない為、都会の喧騒や仕事中の緊張した「交感神経モード」からリラックスする「副交換神経モード」となり、美味しさをより一層感じる事ができるのです。
味集中カウンターは、代表吉冨の様々な体験からヒントを得て誕生しました。
吉冨が大学1年生の時、父親の癌の闘病生活が始まり、自身で学費と生活費を稼がなくてはいけない状況になり、とある食堂でアルバイトを始めました。その店の大将の腕は超一流でしたが、無類のギャンブル好きでした。店は客席から厨房の様子が非常に見にくい作りであったため、それを良いことに大将はしょっちゅうギャンブルに行っては帰って来ない状況でした。そのため、その店のオープンから携わっていた吉冨は一人で店を切り盛りするようになり、そこで料理の腕を磨いていくことができました。
ある日、常連のお客様がラーメンを注文し「美味しい」と言って帰っていきました。翌日同じお客様がご来店し、大将不在で吉冨が一人で切り盛りしている事に気づかれました。ラーメンを注文され、食べ終わると「君の味はまだまだだな」とおっしゃいました。
また翌日、同じお客様がご来店。ラーメンを注文したので「大将がつくりました」と偽りお出しすると、「やっぱ大将のラーメンは美味しいね。」とおっしゃいました。
3日間すべてのラーメンは吉冨が作ったものですが、お客様の美味しさの感じ方は異なっていました。その時「人は誰が作ったかによって味の感じ方が変わる」という事に吉冨は気づきました。
吉冨は一蘭1号店、那の川店をオープンするにあたり自ら街頭に立ち、アンケートを実施しました。すると多くの女性がラーメン店にはひとりで入りにくいという調査結果がでました。その時、吉冨は中学生時代、女子生徒が口元を隠しながらお弁当を食べていた事を思い出しました。多くの女性は周りからの視線を感じながら食事をする事に抵抗を感じるものなのかもしれない。
そうした経験から、吉冨は「作り手の雰囲気を一切排除し、お客様に一杯のラーメンのみと向き合い、周りを一切気にせず召し上がっていただける環境」を考案。那の川店では、目の前に客席と厨房をさえぎる暖簾を設置いたしました。それが味集中システムのはじまりでした。 その後、博多店がオープンする際に、初めて隣席を仕切る「仕切り板」が導入され、徐々に進化し現在の形となっていきました。